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「小相談」と「グチ」を言えるようにしよう!

コラム

2020年11月6日

今回のコラムの内容は、 上岡陽江・大嶋栄子(2010) その後の不自由:「嵐」のあとを生きる人たち 医学書院 からの抜粋・引用が多くあります。もしこの内容に興味がある方は、ぜひとも元の書籍を読んでみることを強くおススメします!

あなたは「相談下手」な人?? 

あなたは、自分の悩みごとを誰かに相談できていますか?何か問題が起きて大事になってから話をしていないでしょうか?話したら「怒られる」「相手のいうことを聞かないといけない気がする」と思っていませんか?「どこまで話していいかわからない」「どうせ解決しない」「裏切られるかも」と考えていませんか?「恥ずかしいこと」「自分が崩れてしまいそう」と感じたりしていませんか?

この中に当てはまるものがあれば、あなたは「相談下手」な人なのかもしれません。「相談上手」となるために、まずは相談のイメージを変えてみましょう!

「大相談」と「小相談」

ソーシャルワーカーの上岡陽江さんは、相談を「大相談」と「小相談」に分けます。小相談とは「絡んでいない」相談です。眠れない、特定の誰かとうまくいかないなど、具体的で単純な困りごとが話されるのが「小相談」となります。

それに対して、「大相談」とは「絡んでいる」相談です。背景に過去のトラウマや現在の支配関係など、複雑な背景が「絡んで」生じている困りごとが話されるのが「大相談」になります。「大相談」は何年・何十年にも渡って積み重なった問題であり、それを相談しようとすると、相談するほうもされるほうも圧倒されてしまって、どうしていいかわからなくなってしまいます。「大相談」は相談できない相談なのです。

「小相談」を話せる相手をつくろう!

まずは絡んでいない「小相談」から始めるようにしましょう。「眠れない」「気分が落ち込む」「身体の不調がある」「友人関係でもめてしまった」「就職先がみつからない」といったようなことです。「小相談」ができるようになると、問題が「大相談」に発展する前に対処できるようになります。時間はかかるかもしれませんが、そうなるとちょっとずつ生活が楽になっていきます。

そのために、「小相談」ができる複数の相談相手を作ることが目標となります。気持ちや睡眠の問題を相談する精神科の先生、健康問題について相談する内科や外科の先生、対人関係や気持ちの鎮め方を相談するカウンセラー、お金や生活手段について紹介してくれるソーシャルワーカー、その他支援員や友人など、複数の自分の応援団を作っていけるとよいでしょう。

全部を解決する答えをもらうことではなく、「ちょっと話す」「一緒に考える」という対等な関係の中で話し合うことがよい相談の関係です。急がば回れ。面前のトラブルの解決に振り回されたり、核心のトラウマをどうにかしようとしたりするよりも、ささいなこと、表面的なことから一つずつやっていくことが大切になります。

「グチ」はもっと難しい??

さて、小相談の前にあるのがちょっとした困りごとである「グチ」です。しかし相談下手な人にとって、グチをいうことがもっと難しいことがあります。グチを言うと、「迷惑なのではないか」「相手に負担をかけてしまのではないか」と思っていないでしょうか?「私がガマンすればいい」と考えていないでしょうか?「言霊で私も不幸になってしまう」と感じたりしていないでしょうか?

もしこう思っていたとするなら、あなたはいままで自分一人でがんばってきたと思います。ただ、グチにもよいグチとわるいグチがあり、正しくグチを言えることは、とても大切になります!

「閉じられたグチ」と「開かれたグチ」

さて、相談を「大相談」と「小相談」と分けたように、上岡陽江さんはグチも「開かれたグチ」と「閉じられたグチ」の二つに分けます。開かれたグチとは、双方向的・流せる・リラックスできるグチです。開かれたグチは、夫婦間や友人間といった平面の関係で話されます。そして話し手は言ってスッキリすることを目的に話しますし、聞き手は共感はするものの聞き流すことができます。聞き手と話し手の役割は交代され、結果的に双方がリラックスすることができます。

その一方で、閉じられたグチとは、一方向的・流せない・エネルギーを奪われるグチです。閉じられたグチは、力の差がある狭い環境の中で話されます。親と子、暴力的な夫と妻、パワハラをする上司と部下といった関係です。相対的に力が強い方から弱い方へと一方的に流れるという特徴があります。

閉じられたグチは流せないグチです。流せない理由は二つあり、一つはそれがほっとけないような重大事態を伴う場合です。暴力や暴言、あるいは自分を傷つけるような脅しの行動の後に言われるグチは、聞き手に「なんとかしないと」と思わせます。もう一つは、それが自分にとってもその一部であるような大切な人から言われる場合です。とりわけ、お母さんのグチは流せません。「なんとかしないと!」と、子どもに強く思わせます。しかしなんともすることができず、聞き手には無力感と罪悪感が残ります。結果として、エネルギーが奪われてしまいます。

しかし例えそれが閉じられたグチでも、話し手には大きなメリットがあります。まず聞き手がいることで、孤立感が解消されます。また助けをしようとしてくれますから、味方を作ることができます。他にも自分を正当化し、自己否定の沼に引きずりこまれるのを防ぐことができます。そして、自分が生き抜くためのストーリーを作ることができるのです。例え無力感と罪悪感しか残っていなくても、あなたがグチの聞き手となったことで、その人を助けることができたのです。

「開かれたグチ」の方法を身に着け、流してくれる聞き手を見つけよう!

グチには効果があるようです。ですが、正しい「開かれたグチ」を言えることが大切になります。まず、大きすぎる・大変すぎるのはグチではありません。「日常的な小さな不満」がグチとして話す内容になります。「死にたい」「消えたい」など大きな悩みがあったとしても、日常的な小さな不満は必ずあるはずです。

また、グチをいうときは「思いっきり自分を正当化していい」「自分を中心に話していい」「他人のせいにしていい」ということも重要なポイントになります。これは閉じられたグチの聞き手であった人には大変です。でも、とにかくがんばって誰かのせいにすることが大事です。

そして何より大切なのは、グチをいう相手を選ぶということです。聞き手が流せないため、家族(肉親)以外に話し相手を見つけなくてはなりません。また、たとえ自分の弱さやウチの問題を話したとしても、「恥と感じない」場所と時間を作ることが大切です。場合によっては、カウンセリングや自助グループを使うことも必要になります。

また、悪口を言っていると勘違いしないでグチとして聞いてくれる相手に話すようにしましょう。四方八方に垂れ流さずに、誰にどこで話すかということを選ぶことで、「幸福なグチ」を作ることになるのです。それでもグチに抵抗があるという人は、話す前に「グチなんだけどね・・・」と前置きして話すようにするとよいでしょう。解決法を提示しなくていいんだ、ときちんと伝われば、聞いても相手は嫌な思いになることはありません。

自分の中の「困りごと」に気づいていく

小相談やグチが言えないと、どうしようもできない大相談をぶつけたり、あるいは依存につながりかねない気晴らしに走ったり、心の痛みを身体の痛みに置き換える自傷行為をしてしまったり、原因不明の身体不良で表現するようになってしまいます。

一方で、自分の中にある小さな不満や不安をグチにすることができたり、具体的な困りごとを相談してアドバイスをもらえたりすると、徐々に自分が今何に困っているかがわかるようになります。そうなると、対処できる困りごとが増えていきます。同時に、そういうことが言える相手とのつながりが形作られていくのです。そのつながりは過去を変えるものではないですが、あなたの人生を豊かにするものになります。

参考文献(ぜひ読んでください!)

上岡陽江・大嶋栄子(2010) その後の不自由:「嵐」のあとを生きる人たち 医学書院

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