臨床心理学について
カウンセリング
2020年9月30日
臨床心理学とは
公認心理師・臨床心理士が依拠する専門性が、臨床心理学(Clinical Psychology)です。臨床心理学は、心理的な問題の援助や予防を目的とする心理学の一分野です。基礎心理学の知見を活用する応用心理学の一つですが、その成立には20世紀初めにフロイトらによって創始された力動的精神医学も深くかかわっています。

臨床心理学の3つの学問体系
学問としての臨床心理学は、次の三つに大別することが可能です。
1)異常心理学:その人の心理的問題がなぜ生じたのか、原因やメカニズムを探る
2)心理アセスメント論:症状の程度やパーソナリティを測定し評価する
3)心理療法論:クライアントに働きかけて、心理的に援助し、不適応からの回復を目指す
公認心理師・臨床心理士に行うカウンセリングは、この3つの学問に基づいて実施されているということができます。
臨床心理学のパラダイム
一方で、臨床心理学は複数の理論的な土台(パラダイム)が存在しており、それぞれにおいて異常心理学、心理アセスメント論、心理療法論を持っているということができます。
フロイトを創始者とする精神分析理論、アイゼンク・スキナー・ウォルピと呼ばれる人たちが作り上げた行動理論、そしてそれに対する「第三の波」としてカール・ロジャーズの手によって生まれた人間性心理学、そしてエリスやベックといった人物によって始められた認知理論です。このうち、行動理論と認知理論は現在ひとつにまとめあげられ、認知行動理論として体系化されています。その他のパラダイムとして、ユングによる分析心理学、家族療法やアディクション・アプローチ、日本由来の心理療法としての森田療法・内観療法・動作法などがあります。

カウンセラーによっては、一つのパラダイムに忠実に即した実践を行い、成果を出し続けている方もいらっしゃいます。一方で、ほとんどのカウンセラーはそれぞれの要素を相談者によって組み合わせ(折衷派)、カウンセリングの実践を行っています。