9B

すごくざっくりとした人生の発達

コラム

2021年1月21日

胎児(26週〜)

耳が聞こえ始めるので、おなかの外の音をよく聞いています。たくさん喋りかけてあげましょう。赤ちゃんがママの声で安心するのは、聞き慣れた声だからです。パパもたくさん話しかけてみましょう。

出産〜

ママは身体の回復を最優先に過ごしてください。身体がボロボロの状態で通常の生活は無理です。なおさら母乳を出したり、自分がふらふらなのに赤ちゃんの夜泣きに付き合ったらヘロヘロになります。まずは回復を最優先に過ごしてください。

産後1日〜

赤ちゃんは、過ごし慣れたおなかの中から初めてのお引越しです。不慣れな場所で怖さもあるでしょう。そんな赤ちゃんに「この世界も安心だよ」、「あなたはお世話されるに値する存在だよ」と伝わるよう、赤ちゃんの行動に反応してあげましょう。そうした日々の積み重ねで基本的信頼感が芽生えます。

2〜4ヶ月

視力が発達して、動くものを目で追い始めます。

6ヶ月〜

視力が良くなり、人の顔を見分けられるようになります。安心できる人と、不慣れな人の顔の区別がつくようになるため、人見知りが始まります。人見知りがあるからといって安心できる人とばかり過ごすと、外の世界(知らない人がいる世界)が怖いままになってしまいます。安心できる人と一緒に過ごしながら、「よく知らない人も信頼していい世界なのかもなぁ」と安心感を育んでいきましょう。

病院で注射を受けるなど「この世界は危ないかもしれない」という体験をした後は、人見知りが強くなりやすいです。しかし、その後に安心できる体験を重ねれば、人見知りは薄まっていくはずです。2週間くらいは様子を見ても良いでしょう。

ただし、中には極端に人見知りが強く、新しい場所に慣れるまで何ヶ月もかかる子もいます。そうした子は、情報を収集するところに苦手さがあるのかもしれません。例えば、人の顔を見分ける苦手さがあって(失認)、誰を頼っていいのかわからずフリーズしてしまうことや、視野の狭さから状況を正しく判断するところに時間がかかることもあります。そうした子には、「ここは楽しい場所だよ」「この人はいい人だよ」など、言葉で声かけをしてあげられると良いでしょう。

この時期の赤ちゃんは、口で色々な欲求を満たそうとします。ママのおっぱいを飲んだり、ご飯を食べたり。見たものを口に入れてしまうのも、この時期の赤ちゃんにとって口が大事な場所だからです。1歳を過ぎても、何でもかんでも口に入れてしまう場合は、おっぱい離れができていない寂しさがあったり、次の発達段階に進めていないゆっくりさがある可能性があります。

1歳頃〜

倫理観の土台が作り始められる時期です。悪いことをしたら「ダメだよ!」、良いことをしたら「えらいね〜!」と短い声かけをしましょう。人によって怒るポイントが全然違ったり、注意したりしなかったりで一貫性がないと、幼児が混乱してしまいます。なるべく養育者間で価値観を統一できると良いでしょう。

感情の分化も始まります。赤ちゃんの時は「気持ちいい・気持ち悪い」の2つだけだった感情が、成長するにつれて「楽しい、嬉しい、悲しい、イライラ、怒る」など、細かく分かれていきます。湧き上がってくる感情がなんなのか、経験不足だと「よくわからないけど不快!」と戸惑って赤ちゃんのように大泣きをすることもあるでしょう。「怒ってるのね〜」、「楽しいね」などと気持ちの代弁をして教えてあげることで、お子さんも感情を発見していきます。感情に名前がつくと自分でコントロールしやすくなるので、癇癪も減るでしょう。

「したいこと」が徐々に増える中で、まだまだ「できないこと」がたくさんある時期です。感情表現として、噛みつき・他者を叩く行動が出ることもあります。そういった場合も、気持ちの代弁を行なった上で、言葉に置き換えていけるような関わりを意識しましょう。この時期は、周囲をよく観察している時期でもあるからです。注意するために大人が子どもを叩くと、子どもは「叩いてもいいんだ」と学習してしまいます。大人は決して手を出さず、「怒って叩いちゃったのね、でも人を叩いてはいけません」と言葉で教えてあげてください。次の時に、子どもが叩かずに言葉やジェスチャーで怒りや不満を表現できていたら褒めてあげましょう。

周囲をよく見ているため、簡単な挨拶(ありがとうのぺこり、バイバイなど)ができるようにもなってきます。

2歳頃〜

理解できる言葉が増え、話せる単語が50ほどになると、単語と単語をくっつけた2語文が出てきます。大体の子は2歳6ヶ月までに2語文が出てくると言われています。

トイレットトレーニングが始まるように、この時期は我慢する力が育つ時期です。自分の本当にしたいことや欲求をコントロールしようとする意識が育ち始めます。それまで動きが多く、怪我しないか毎日ハラハラ見守られていた子どもが、大人の声かけによって止まれるようになることも増えてくるでしょう。

3歳頃〜

それまでは目に見えることが全てでした。少しずつ、目に見えない情報(抽象概念)もわかるようになってきます。「相手はどんな気持ちになるかな」と考え始めたり、色や数字など、目に見えない意味を理解できるようになったりします。

この力の発達により、社会性がぐんっと伸びます。日常的な挨拶をしたり、他のことおもちゃを貸し借りしたりできるようになります。

ただし、まだまだ自分の気持ちに折り合いをつける力は未熟です。気持ちの代弁を行いながら、感情コントロールのお手伝いをしてあげましょう。少し難しいこともわかるようになるので、注意する時には理由を一緒に説明してあげると良いでしょう。

イヤイヤ期は、大人が対応に困る時期ですが、子ども達も強く葛藤を抱いている時期です。自分でできることが増えてしたいことがたくさん出てきます。いろいろなことができる自分はすごい!と万能感を感じたいのに、まだまだ「できないこと」もたくさんあって挫折を繰り返します。

「着替える?着替えない?」だと「着替えない!(今まで絶対だった親の言うことに反して自分の意思を主張してやるんだ、えっへん!)」となってしまうので、「パパが着替えさせる?自分で着替える?」と声かけの仕方を変えて、「自分でできた」体験に誘導していけると良いでしょう。どっちを選んでも大人は困らない選択肢を提示して、子どもは「自分で選べた!」と言う万能感を感じられるように工夫していきましょう。

この時期は、将来なりたい理想像を見つけ始める時期でもあります。自分のモデルにしたい人のマネっこを始めます。戦隊モノのヒーローだったり、ヒロインだったり、女の子であればママの化粧品をこっそり使ったり、男の子であればパパの言動をマネすることが増えたり、同じ性別からモデルを選ぶことが多いです。

性器を触って遊ぶことが増える時期でもあります。わかることが増え、自分の体に興味を持ち始めている証しです。ただし、大人のように性的な意味合いはまだ理解していないので、耳たぶを触るような気持ち良さと同じ意味合いで触っていることが多いです。指しゃぶりと同じで、自然と消える行動です。

就園〜

家族の外で、集団行動が始まります。より繊細な注意コントロールが求められます。それまで落ち着きがなかった子も、環境変化により「こうやって過ごせばいいんだ!」と理解して行動が変わることも多いでしょう。

脳みそは、その日あった出来事を睡眠中に整理します。新しいイベントが盛りだくさんの日は、脳みそが情報を整理しきれず夜泣きに繋がることもあります。環境変化や、新しいイベントがあった日には、起きている間に脳みその仕事を手伝えると良いでしょう。「今日はどうだった?」と1日の振り返りを促す関わりができると良いかもしれません。

抽象的な除法を扱う力がどんどん伸びます。5歳頃までには自分の名前をひらがなで書けるようになったり、数字をいくつか数えられるようになっています。

(生後から6歳までの発達について詳しく知りたい方は、「0〜6歳子どもの発達と保育の本」河原紀子監修・執筆を読んでみてください)

小学校〜

小学校は勉強の他にも、「みんなと一緒」ができるように練習する場所でもあります。「あの子よりできた」「あの子よりもできなかった」と比較をしながら自信や劣等感を身につけていき、自分らしさを実感していく時期です。

この時期に怒られる体験が多いと、劣等感が刺激されます。その子の得意なことを活かして成功体験を多く積ませることが、この時期にとって大切です(詳しい得意と不得意に差がある子の対応についてはこちらの記事を参考にください)。

抽象概念を扱う力の発達にゆっくりさがあるお子さんは、帰宅後に保護者と宿題を一緒に取り組むなどして復習する時間があると良いでしょう。「わかった!」と言う体験が少ないと、その後自分の人生に役立つ勉強が嫌いになってしまいます。

9歳頃〜

勉強の内容がぐっと難しくなります。より複雑な抽象概念を勉強していくからです。この段階でも、保護者は宿題の復習を一緒に行えると、お子さんが勉強につまづいていないか確認ができるのでオススメです。

ただし、この時期は「ギャング・エイジ」と呼ばれる、同年代の同じ性別で固まることがかっこいいとされる時期でもあるため、保護者の介入は拒まれることがあるかもしれません。そうであれば、同じ性別の年上に任せてみるのも手でしょう。

中学校〜

「みんなと一緒」が「自分が所属する集団と一緒」に細かくなっていきます。良く言う「カースト」や、「陰キャラ・陽キャラ」といった分類も、この心理的な発達に伴う現象です。自分らしさを、自分が所属する集団になぞって理解しようとしているのです。

「本当はしたくないけど、同じグループのみんながしているから…」と、個人ならし得ない行動をとることもあるでしょう。いじめに加担しているようであれば、集団ではなく「あなた個人」として子供に接して客観的に自分を見つめる機会を促すような関わりをしてみるといいかもしれません。いじめられているようであれば、「自分はいじめられるような存在」と言う自己意識を払拭し、良い面を意識できるような関わりや、環境変化を促してみると良いでしょう。

中学校に上がると、卒業後の進路についても考え始めます。得意なことと不得意なことを整理して、得意なことを活かして生活する時期に入ります。文系・理系を選択して今後の人生設計の入り口に入ります。得意を活かせる機会が増えてきます。

高校・専門学校〜

アイデンティティ発達の時期に突入です。過去の経験を踏まえて「自分らしさ」を探し求める時期に入ります。「所属する集団と一緒」から、「他の人とは違う自分」を探し求めます。この時期は「みんな色々できることがあるのに、自分には何もない…」と葛藤を抱くこともあるでしょう。それは、自分に持っているものを客観的に見れていないためです。自分らしさをありのままに受け止めてもらえる環境で、安心しながら自分を理解していけることが望ましいでしょう。

青年〜

その後も自分探しの時期は続きます。特に若い時は、周囲から認められるような価値に対して憧れを抱き、それを追い求めるあまりに「自分らしさ」を見失ってしまうことがあります。理想と現実のギャップを感じ気持ちが落ち込むことを、誰しも経験します。ですが、目の前にある仕事をコツコツとこなしたり、自分の役割をこなしていく中で、だんだんと等身大の「自分らしさ」が出来上がっていきます。

また、家族ではない他者と親密な関係を築く機会もこの時期に訪れます。その中では、元々育った家族との間にあったわだかまりが、いろいろな形で出てくることもあります。それを乗り越える中でも「自分らしさ」は作られていきます。

中年〜

仕事内容の変化、身体の変化、子供がいる場合は子離れによる喪失感など、大きな変化がドット押し寄せてくる時期です。

会社員であれば、現場から中間管理職に異動することもあるでしょう。それまで務めた仕事内容がガラッと変わって葛藤が生じる中、年齢的に周囲に頼ることが難しく、一人で悶々と抱え込むことも多いと言われています。初めての仕事に戸惑うことは当然なので、6ヶ月は心身の落ち込みが生じやすいかもしれません。(気分の落ち込みや睡眠不足がノンストップで1ヶ月以上続くような場合は、早めに専門家に相談してください)。「慣れない環境で自分はよくやっている」とねぎらい、積極的に自分にご褒美をあげましょう。

高齢期〜

身体的な変化に戸惑いが生じ、「自分はこんなんじゃない!」と認めたくない気持ちが生じることもあります。しかし、身体的にできないことが増えても、人生経験の多さからできることも格段にあります。そちらに目を向けながら、自分らしさを誇って日々を過ごしてください。周囲の人も、できている面に目を向かせる関わり方を意識してみてください。

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