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発達障害グレーゾーン

コラム

2020年11月23日

発達障害グレーゾーン

特性が色濃くて、幼少期から周囲の困り感が強い場合、療育を受けたり、しっかり治療をしたりして適応できる環境を積極的に見つけていきます。一方でグレーゾーンでは、たとえばそれまで問題なかった女子が中学校から不登校になる、高学歴だけど臨機応変な対応が求められる社会人になってからうつ病や適応障害になり精神科に受診を始めた、などです。

そのため発達障害グレーゾーンは、「大人の発達障害」として扱われることが多くなっています。この「大人の発達障害」というのは、近年では一種のブームのようによく言われるようになりました。

発達障害が流行り始めた理由

昔は言われていなかった「大人の発達障害」が急に流行り始めた理由の一つとして、DSMの改訂が影響しています。世界の精神科医や専門家が、診断基準の手引になる「DSM」という本があります。診断書を書いたり、薬を処方したりするときはこの本の内容に沿って決めます。

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改訂前は、上の図の「強い」に該当するところのみ診断されていました。しかし、数年前に改定されたDSM-5から発達障害の診断基準が変わり、かなりの人数の人たちが当てはまるようになりました。それが「ちょっとASD/ちょっとADHD」の人たちですね 。おそらく、図の左下の「特性がない」人たちの方が、少数派でしょう。そこで、「困っているかどうか」がとっても重要な診断基準となったわけです。

ブームの功罪

上でも述べたように、「困っているかどうか」は環境との相互関係の中で決められるものです。大人になっていくこととは、職場や家庭での役割など、いろんな環境に適応していく過程であるということができます。その過程の中で「困っている」ことが生じた時、それが発達特性のものであったことが明らかになることで発達障害と診断される、そのことによって「大人の発達障害」という診断が広がっていると考えられます。発達障害の概念が知られることによって、多くの人たちが今までなんとなく感じていた生きづらさに名前がつけられるようになりました。そのことによって、多くの人が救われることになりました。

しかしながら、こうした「ブーム」に付き物なのですが、この「大人の発達障害」がやや広がりすぎているかもしれません。発達障害と診断されるためには、その原因となっている発達特性が幼少期からなくてはなりません。それを明らかにするためには、小学校の頃の成績表や両親からの詳細な聞き取りなどが必要となりますが、そこまでされず自己判断でなされる場合もあるようです。また、職場環境が客観的に見て酷いために不適応が生じている場合も、上司から「お前は発達障害じゃないか」と言われて相談機関を訪れる・・・そうした話を、残念ながらよく聞くようになりました。

その問題が、果たして本当に発達特性に由来するのか。実際にその判断が難しい場合があります。とりわけ、児童期に虐待など逆境体験が存在した場合、それはより困難になります。専門家による丁寧な判断が、より広く行われる必要があると考えられます。

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