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統合失調症

心理教育

2020年10月13日


統合失調症とは

統合失調症とは、幻覚・妄想などの症状を主とする精神障害です。自分を批判したり指示したりする声が聞こえたり、周囲に自分の考えが漏れていると感じたりすることで、本人の苦しみは非常に強いものとなります。また思考や行動の一貫性が失われてしまうことも特徴です。そのことによって、会社や学校など社会生活を普通に送ることが難しくなってしまいます。あるいは、そうした体験を回避しようとしてひきこもりが生じてしまうこともあります。そのため本人だけでなく、家族にも大きな負担がかかる場合がほとんどです。

なぜこのような症状が起こるのでしょうか。健康な人間の心は、外からいろんな刺激が入ってきても、それを外部のものであると認識し、自分を脅かすようなものも「No」をいうことができます。たとえるならば、こころの外と内の間に「壁」が存在するのです。しかし統合失調症の人の心は、その壁がボロボロになってしまって、いろんな刺激が入り込むために、何が自分のものでそうでないかがわからなくなり、頭の中が混乱してしまう(統合が失われてしまう)ことになります。その結果として、統合失調症の様々な症状が生じることになります。

およそ100人に1人が発症するといわれており、われわれにとって身近な疾患です。かつては入院治療が主とされてきましたが、統合失調症の治療法は大きく進歩しています。厚生労働省のHP(こちら)に詳しい疾患の特徴や治療法について述べられていますので、ぜひともご覧ください。

統合失調症と地域

統合失調症は、かつては「精神分裂症」と呼ばれ、一度発症すると精神科病院に長期の入院が必要となるというイメージがありました。 しかし現在は、統合失調症の方のほとんどは、地域の中で暮らしています。

これは、副作用の少ない治療薬の開発や、生活環境の変化により、統合失調症という病気自体が徐々に軽くなっているためであるといわれています。加えて、国が精神科病院への入院をなるべく少なくしようという政策をとっており、今後も統合失調症の方が地域で暮らしていくという流れは続いていくと考えられます。

また地域に生きる統合失調症の方への援助としては、北海道浦川町にある「べてるの家」の取り組みも有名です。その独自性ある「当事者研究」などの実践は、地域に生きる精神障害者を抱える方法として全国的な注目と広がりを見せています。

地域の中にある援助機関

地域で暮らす統合失調症の方を援助する施設としては、医療機関や福祉機関があります。

まず医療機関として、症状の治療やコントロールの中心となる精神病院やクリニックがあります。こうした医療施設には、デイケア・ナイトケアが併設されている場合があり、生活で必要なスキルの獲得や対人交流の場として活用することが可能です。通院している病院やクリニックで相談してみるとよいでしょう。

同様の日中の活動の場としては、地域活動支援センターも挙げることができます。地域活動支援センターはさまざまなものがあり、それぞれのニーズに合ったものを選ぶことができるとよいでしょう。利用を検討する場合は、市区町村の福祉担当窓口に問い合わせをすると、利用方法について教えてくれます。

就労を目指す人に向けては、就労移行支援や作業所といった施設があります。こういった施設では、本人の特徴に合わせつつ、働くための準備をしていくことができます。こちらの利用にあたっても、市町村の福祉窓口に問い合わせをすることから始めるとよいでしょう。

その他にも、統合失調症の方を支える、家族のためのグループがあります。これは家族会と呼ばれ、地域に根付いた会が多くあります。こちらの利用は市町村の福祉窓口や、あるいは家族会の連絡団代であるみんなねっとのHPから問い合わせを行うとよいでしょう。

地域臨床の中での統合失調症

カウンセリングルームでのカウンセリングにおいて、統合失調症の症状の治療を行うことは多くありません。むしろ重要になるのは、来談者の悩みの背後に、統合失調症の症状がないかを発見することである、といえるでしょう。

統合失調症の方に特有にみられるのが「自分が病気である」というの自覚がないということです。そのため統合失調症の方は、自分が病気で困っている、という仕方で相談機関を訪れることはほとんどありません。その代わりに問題となるのは、近所とのトラブルであったり、人間関係での悩みであったりします。他者が自分の中に入り込んでくるという独特の体験が、こうした訴えに結び付くと考えられます。

そしてまた大事になるのが、ひきこもりの背景に統合失調症がある場合です。統合失調症の発病期には急激な不安の高まりがあることが知られています。また、幻聴や妄想なども強い不安を喚起させます。そうした不安から自分を守るために、ひきこもりが生じると考えられています。

このように、背後に未治療の統合失調症があるような困りごとは、地域の中で少なくありません。現代では、統合失調症を発症したとしても、十分に地域社会の中で生活することが可能です。しかし、そのためには十分な医学的なバックアップが必須となります。未治療の統合失調症の方をみつけ、適切に医療機関への受診につなげることは、地域の中で働くカウンセラーの、非常に大切な役割になると考えられます。そのためには、カウンセラーが統合失調症の人たちの特有の思考や認知の仕方を把握している必要があると言えるでしょう。

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