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回復への道のり

トラウマ

2021年5月21日

上岡と大嶋の当事者研究から

それでは、トラウマが背景にある人たちは、具体的にどのような回復の過程を歩んでいくのでしょうか。上岡陽江と大嶋栄子は当事者研究から、中学卒業以降に出会う問題について、15歳~20歳までの≪前期≫、20歳~28歳までの≪中期≫、28歳以降の≪後期≫に分類しています 。まずはそれを参照してみましょう。

上岡陽江・大嶋栄子(2010)その後の不自由:「嵐」のあとを生きる人たち

回復へのアウトライン

上記の上岡と大嶋の分類を参考にしつつ、「嵐のあとを生きる人たち」であるトラウマが背景にある人たちが、どのように回復の過程に入っていくのかのアウトラインを描いてみましょう。

「嵐」は生まれた直後から生じます。望まない/早すぎる妊娠による出生、両親間のDVとその目撃、虐待、親の病気、家庭内での緊張の高さ、いじめ/いじめられといった問題です(参考:何がトラウマとなるのか)。

この「嵐」の最中の時期は「初期」と呼びうると思われます。一般に「嵐」は外からは見えない状況で生じています。暴力や虐待といったものには、自己隠匿の作用があり、彼ら・彼女らがそこから自力で救済を求めることは困難です。しかしなにかの機会に、ふらっと支援者の前にやってくるときがあります。そのためこの段階では、わずかなサインから彼ら・彼女らを「見つける支援」が求められます。

やがて「嵐」は終わります。その直後から「その後の不自由」として、問題行動や症状が出現し始めます。しかし「嵐」を自らの力で切り抜けてきた彼ら・彼女らにとって、そもそも援助の前提となるような、他者への信頼を持つことが困難なものとなっています。そのためそもそも支援に来ることが少ないのですが、周囲に連れてこられたり、あるいは身体的な不調を訴えて支援にかかることがあります。ここではまずは、彼ら・彼女らと「つながる支援」が求められます。

仕事や結婚といったイベントを機会に問題が始まる場合も多いです。こうした明確な困りごとが現れることで、彼ら・彼女らは自分で支援者の前に訪れ始めますが、まだ自分自身の問題に向き合う準備ができていないことが多いです。この段階では、そうした彼ら・彼女らの試行錯誤の過程に付き合っていくという、試すことを「見守る」という支援が求められます。

こうした試行錯誤を経て、ようやく曲芸飛行の方法を徐々に手放す機会が訪れます。自分の症状をある程度把握でき、そして社会的なつながりも徐々に持つことができるようになっていきます。ここでようやく納得する支援者につながる例も少なくありません。この段階では、治療的試みと共に「回復によりそう支援」が求められます。

初期、前期、中期、後期という段階、そして見つける、つながる、試すことを見守る、よりそうという支援の順番はすべての事例に当てはまるものではありません。しかし今自分がどのあたりでその人に関わり何ができるのか、そして今後どうなっていくのかを把握する手がかりになると思われます。

以下では各段階の支援について、もう少し考えてみたいと思います。

NEXT:初期:「見つける」支援

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