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強迫性障害

心理教育

2020年11月9日

強迫性障害とは

強迫性障害とは、自分でもばかばかしい、ありえないと思いながらもある考えやイメージが頭から離れない、あるいはわかっていながらも同じ行動を何度も繰り返してしまうことによって、日常生活で困難さが生じる疾患です。

有病率は人口の2.5%ほどであるといわれています。パニック症や社交不安症などと並んで、不安が強く影響して生じるとされています。

症状が強化・維持されるシステム

強迫性障害は、「強迫観念」と「強迫行為」の二つによって特徴づけられています。

強迫観念とは、自分でもばかばかしいことだと思っていても、そのことが頭から離れず、繰り返し頭の中に浮かんでくる考えやイメージ、衝動性です。「自分はばい菌で汚れてしまっているのではないか」などの思考が、いきなりあらわれます。それは不快で不安となるため、なんとか振り払おう・コントロールしようとします。しかし多くの場合でそれは失敗してしまい、同じ考えが、自分ではばかばかしい・考えても仕方ないと思っていても、繰り返し繰り返し浮かんでしまうのです。

こうした強迫観念によって生じた不安を和らげるために行われるのが、強迫行為です。上の例にそえば、自分が汚れていると感じるがために、長時間何度も何度も手を洗ったり、お風呂に入ったりすることがそれにあたります。また強迫観念は、外から見える行動だけではなく、頭の中で行われる場合もあります。「まずは親指を洗い、次に薬指、中指・・・」「頭から洗って、そのあと身体、足、手、そしてまた頭・・・」など順番や回数などに強くこだわり、それが失敗したらやり直す、というようなことです。

強迫観念と強迫行為が繰り返されていると「ちゃんと洗えただろうか?」「今意識がそれてしまったから台無しになった!」「自分の汚れが周囲に広がり、部屋中汚染されてしまった!」などほんのちょっとの不安で症状が強まったり、広がることが生じます。独自のルール・ストーリーが展開され、そこに自分自身不合理だと思いながらも取り込まれてしまいます。

巻き込み型強迫

こうした強迫観念・強迫行為が自分一人だけではなく、家族など身近な他者も加わる「巻き込み型」全体の三分の一ほどにみられます。例えば、汚染が広がらないように家族の行動を制限したり、一緒にお風呂に入って身体を洗うように強要したりということです。

強迫観念で沸き上がった不安が解消されないことはとても苦痛であるため、周囲の人間もなんとかしようと、巻き込まれてしまうことがほとんどです。しかしそれで症状が軽快することはほとんどありません。どんどん周囲への要求はエスカレートし、一日中家族の強迫行為に付き合ってしまって消耗しきってしまうことも珍しくありません。一般的に巻き込まれ型の方が治療が困難となります。

時として、巻き込みによって生じる家族のかかわりが、強迫観念から逃げるだけでなく、関心を向けられているという安心感をもセットで生じさせる場合もあります。家族に対する複雑な思いが、強迫行為という症状の中に反映されているように見えることがあります。ですがこうした思いを分析するよりも、まずは症状を軽くすることを優先した方がよい場合がほとんどです。

強迫性障害の治療

まずは正しい診断・アセスメントということが必要です。強迫性障害は自分自身も病気であると気づいていないことがままあります。あるいは強迫観念や強迫行為があったとしても、その背景には別の疾患が隠されている場合があります。その代表例は、統合失調症と自閉症スペクトラムです。両者とも非常に強い不安が喚起されるため、そこから身を守るために強迫行為が生じる場合があります。区別することが困難な場合もありますが、経験のある治療者であればほとんどの場合、そうした疾患の存在は明らかにすることができます。いずれにせよ、医療機関の支援を受けることが必須であるといえるでしょう。

治療としては、薬物療法と心理療法が存在します。薬物療法では抗うつ薬を中心に用いられますが、チック症がある場合は別のお薬が選択されることになります。心理療法では、まずはしっかりと病気のメカニズムについて理解した上で、本人の同意のもとで暴露反応妨害法を行うことが最もスタンダードな治療となります。強迫性障害に対する暴露反応妨害法の治療効果は高く、しっかりと行えば4人のうち3人は症状が軽快するとされています。

強迫性障害と地域臨床

他の疾患と同じく、地域のカウンセリングルームの役割としては、まずは未治療の強迫性障害で苦しむ人の発見、ということが挙げられます。巻き込み型によって家族が困ってカウンセリングルームを訪れる、というパターンも珍しくありません。他にも地域の問題としてあげられるのは、いわゆる「ゴミ屋敷」としてしられる「ためこみ症」の存在です。ためこみ症は地域社会の問題の一つですが、強迫性障害のサブタイプの一つとして位置づけられています。ひきこもりの背景に強迫観念や強迫行為がある場合もあり、こうした人たちを発見して適切な医療機関につなぐことが大切であると考えられます。

もちろん、精神療法として暴露反応妨害法を行う治療の場としても、地域のカウンセリングルームは位置づけられます。同時に家族の支援も行っていくことも大切な役割であると考えられます。暴露反応妨害法は非常に効果があるやり方であるため、反対にいうと、それがうまくいかないときは背景により複雑な問題が隠されている可能性もあります。回復の場をしっかりと形成できるように、ほかの地域にある各機関と連携していきながら支援を進めていくことが大切です。

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